第2章 佐久地方の新第三系 平成20年度以降、私たちの地質調査は、内山層から、主に駒込層および新しい時代の地層(八重久保層・香坂層・兜岩層ほか)へと対象が移りました。調査した内容の具体は、これから順に述べていきたいと思いますが、先だって「日本海の成立(第1章)」で話題にしたように、新第三紀以降、日本列島が日本海を拡大しつつ、大陸との相対的位置を変えてきたことを意識して、佐久地方の地質概要を眺めてみたいと思います。 1.日本海拡大前の「山中地域白亜系・佐久地域」 日本海の拡大前(白亜紀後期~古第三紀~新第三紀暁新世)には、後の日本列島はユーラシア大陸の東縁にあり、中央構造線や、その他の構造線は、…