ミステリー評論家。1953年京都生まれ。早稲田大学卒。師事する権田万治との共同監修による『日本ミステリー事典』(新潮選書)で第1回本格ミステリ大賞を受賞。
★ 平山雄一さんが、『都筑道夫創訳ミステリ集成』(作品社)において「註」に協力されています。 ・『都筑道夫創訳ミステリ集成』、作品社、2022年2月28日発行、A5判上製、定価5,600円+税 都筑道夫創訳ミステリ集成 作者:ジョン・P・マーカンド,カロリン・キーン,エドガー・ライス・バローズ,新保博久,堀燐太郎,平山雄一 作品社 Amazon ※作品社のHPも、ご覧ください。 sakuhinsha.com
(本書のほか、『蜘蛛男』の犯人について触れています。また、横溝正史の某短編小説についても同様ですので、ご注意ください。) 昭和8年12月から翌年11月まで『キング』誌上で連載された『妖虫』(1933-34年)は、第二回目の(に、二回目!?)休筆期間を経て、江戸川乱歩が再び探偵小説文壇に戻ってきた記念すべき「第二作」である。 では、復帰第一作は?そう、もちろん『悪霊』である。 同長編は、『新青年』昭和8年11月号から華々しい宣伝文句に飾られて連載開始し、しかし、わずか三か月で敢え無く玉砕した。 そして『悪霊』といえば、そう!言わずとしれた、横溝正史による「乱歩罵倒事件」である。 「二年間の休養を…
こんばんは、紫栞です。 今回は、鮎川哲也さんの『りら荘事件』について少し。 あらすじ 荒川の上流、埼玉県と長野県の境にある《りら荘》。レクリエーションの場として学生に開放されているこの寮に、夏期休暇を過ごすため七名の学生がやって来た。 その日から、殺人事件が次々と発生。地元民の転落死を皮切りに、次々と殺されていく《りら荘》の人々。遺体の側には必ずスペードのカードが番号順に置かれていた。 止まらない連続殺人事件。捜査中にもかかわらず繰り返される凶行、掴みきれない犯人像。手詰まりとなった刑事たちは状況を打開するべく、とある男に解決を依頼するが――。 (adsbygoogle = window.ad…
(本作の内容について詳しく触れていますので、未読の方は、ご注意ください。) 『猟奇の果』といえば、大内茂男が江戸川乱歩長編小説論「華麗なユートピア」において、「乱歩の長編諸作中でも、最大の珍作である」[i]と評したように、短編小説に比べ評価の低い乱歩長編にあっても、失敗作といえば、(『吸血鬼』か)これ、と必ず名指しされるほどの作品である。作者までが「私の多くの長編の中でも、・・・珍妙な作品である」[ii]と、潔く認めている。 連載されたのが博文館発行の『文藝倶楽部』で、編集長が横溝正史というのも、今思うと豪華な組み合わせだが、顔がそっくりの別人が方々に現れる、いかにも乱歩が好きそうな怪異譚的発…
(本作品のほか、江戸川乱歩の短編小説数編について、内容に立ち入っています。) 江戸川乱歩の連載小説といえば、「陰獣」と「パノラマ島奇談」が双璧ということになるだろう。 いずれも文庫本で100頁を少し越えるくらいの長さで、現代の標準でいえば、どちらも中編小説である。しかし、乱歩自身のとらえ方では、「陰獣」は中編だが、「パノラマ島」は長編だったようだ。自身、そう書いているし、最初の平凡社から出た全集でも、後者は「長編」扱いされている[i]。これは、「陰獣」は三か月にわたって分載されたとはいえ、ひと息に書いて編集に渡したもので、乱歩にとっては書き下ろし小説であったこと。一方、「パノラマ島」は、半年以…
乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】 (角川書店単行本) 作者:芦辺 拓,江戸川 乱歩 KADOKAWA Amazon あの中絶作を書き継ぎ完結させる! そして物語はさらなる仕掛けへ… 江戸川乱歩が昭和8年に鳴り物入りで連載開始した「悪霊」は、傑作となるはずだった。謎めいた犯罪記録の手紙を著者らしき人物が手に入れ、そこで語られるのは、美しき未亡人が異様な血痕をまとった遺体で発見された密室殺人、現場で見つかった不可解な記号、怪しげな人物ばかりの降霊会の集い、そして「又一人美しい人が死ぬ」という予告……。期待満載で幕を開けたこの作品はしかし、乱歩の「作者としての無力を告白」した宣言で…
11.大倉崇裕『福家警部補の考察』(創元推理文庫) →倒叙ミステリ〈福家警部補〉シリーズ第5集。4編収録。解説は小出和代。 12.戸板康二/新保博久=編『楽屋の蟹 中村雅楽と日常の謎』(河出文庫) →〈中村雅楽〉シリーズ傑作集第2弾。11篇収録(「グリーン車の子供」は幻の「ひかり号」バージョン)。編者解説。 13.『ストレンジ・フィクションズ』vol.4(ストフィク叢書) →特集「架空アンソロジー」。小説3編収録。福家警部補の考察 (創元推理文庫)作者:大倉 崇裕東京創元社Amazon楽屋の蟹: 中村雅楽と日常の謎 (河出文庫)作者:戸板 康二河出書房新社Amazon
瞬間探偵 平目木駿 1 (ジャンプコミックス)作者:神海 英雄集英社Amazon瞬間探偵 平目木駿 2 (ジャンプコミックス)作者:神海 英雄集英社Amazon 「今夜はナゾトレ」内のコーナーとして、好評だった企画。 それもそのはず。道尾秀介が原作を担当しているのだ。 毎週録画して家族で観ている作品だったので、この企画は嬉しかった。 探偵が瞬時に解けてしまうという設定なので、 難易度はそんなに高くなく、ライトミステリ系だったけどね。 (新保博久が原作担当した「マジカル頭脳パワー」の ミステリー劇場には全然及ばないけどね) でも、こういう試みは非常に嬉しいので、 またどこかの番組で、ミステリ作家…
[日記]やはり紙 資料の提供が電子媒体でも増えてきた今日この頃だが、200ページほどの資料を読むのに流石に目がついていかずつい印刷。1枚2pで両面印刷だから少し気はつかった。 電子媒体は手軽で検索も便利だが、年寄りはやっぱり紙だよ。まだまだ字を読むのに紙以上のものはないな。死ぬまでにもなかろうて。 [日記]朝~夜 通常時刻に起床。 朝食後、「白の旋風」号で出勤。 朝から夕方に掛けてお仕事。 夕方撤収。 買い物して帰宅。スーパーが10%オフの日で全く想定していなかったので一寸うれしい。 [日記]お仕事 ちまちま。 会議会議会議で隙間に構成変更とかテスト。資料もなんとか。おつかないけどそれは能力の…
[日記]やはり紙 資料の提供が電子媒体でも増えてきた今日この頃だが、200ページほどの資料を読むのに流石に目がついていかずつい印刷。1枚2pで両面印刷だから少し気はつかった。 電子媒体は手軽で検索も便利だが、年寄りはやっぱり紙だよ。まだまだ字を読むのに紙以上のものはないな。死ぬまでにもなかろうて。 [由無し言]今日の由無し言 「被災地に来るな」は維新の会による悪質なデマだったと判明 助けを求める現地では死者も 行政が止めてるようだが。実際加賀はともかく能登はまだ無理だろう。全く外野は気楽だわ。ヤマト2.9万人契約終了、ヤマトの非道行為に個人事業主ら撤回要求 本社前で抗議 パートまで切るとはヤマ…
[日記]朝~夜 9時頃起床。 諸事情で外に出にくい雰囲気なので家に引きこもっている。HGCEの「エールストライク」と「ストライクルージュ」に着手。基本色違いで部品割りはほぼ同じなので並行で組める。そうしていると面白いながら妙な気分になる。量産型?量産型なの? 夕方前どうにか時間が出来たので1時間半ほどだらだら歩く。「信長出陣」の「商家」が割合近くにある事に気づいた。これで「具申」も楽になるかな。「敵襲」と「強敵」は思ったよりてこずる。lv下げればいいがなんだかんだで戦力の整備が御座なりだったかなあ。少しがんばろう。 FGOの高難易度はアヴェンジャーで適当に殴ってたら勝てたのでもう一度やってみた…
(収録短編について、内容、犯人等を明かしている場合がありますので、ご注意ください。) ディクスン・カーの第三短編集[i]『奇蹟を解く男(The Man Who Explained Miracles)』は、アメリカで1963年、イギリスで1964年に出版された[ii]。カーの病により、新作発表が見込めないことによる代替案だったようだ。『ストランド・マガジン』に掲載されたマーチ大佐やフェル博士ものの短編で第一、第二短編集に収録漏れだった作品と、その後に書かれた中短編を組み合わせて一冊としたもので、目玉となるのは、やはりヘンリ・メリヴェル卿ものの中編「奇蹟を解く男」ということになるだろうか。 日本で…
ランキング参加中読書 ロアルド・ダールの『キス・キス』を再読しているうちに、ミステリマガジン2016年9月号を積みの山(罪の山?)から発掘した。 このミステリマガジンを読むとダールという作家への理解が深まる。 有名作品もちゃんと収録されているし、初心者(自分だ)にも親切な良い特集号だ。 キス・キス作者:ロアルド ダール,開高 健早川書房Amazonミステリマガジン 2016年 09 月号 [雑誌]作者:早川書房Amazon 内容を紹介をしよう。 まずは対談やエッセイから。 ●対談 新訳で読む“ストーリーテラー”ダールの魅力 田口俊樹×杉江松恋 優秀な飛行士としてのダール、視点の切り替えの面白さ…
強きを扶け弱きを痛めつけるのがマスコミの本分ではあるけれど、先の霊感商法といい、ま近くは芸能界の性加害といい、じつにひどい。鉄面皮ぶりやらしたり顔のご託宣やら下劣な攻撃口調など、まるでヤフコメ程度ではないか。まあ、益体もないことは天下周知(同僚は「現代の床屋政談である」と警抜な評言をくだした)のヤフコメのほうがまだしも害毒は少ないかもしれない。悪臭は害毒ともいえるが。 なんて柄にもなく世相評判に及んだのは、 ★ドラウジオ・ヴァレーラ『カランヂル駅』(伊藤秋仁訳、春風社) が滅法面白かったから。ブラジル最大の刑務所につとめるお医者さんが見聞きしたことを書いている。なんだか話がつながらないようです…
米澤穂信の警察小説が登場 2023年刊行作品。文芸春秋の刊行するエンタテイメント系小説誌「オール讀物(よみもの)」に2020年~2023年にかけて、散発的に掲載されていた作品を単行本化したもの。本作には、米澤穂信(よねざわほのぶ)作品のお約束として英題が存在する。こちらは「Combustible Substances(可燃性物質)」と、わりとそのまんま。 『可燃物』は、ミステリ系各ランキングを席巻し三冠を達成。結果は以下の通り。米澤穂信はこの手のランキング毎年強いよね。 このミステリーがすごい!:2024年版国内編1位 ミステリが読みたい!:2024年版国内編1位 週刊文春ミステリ・ベスト10…