山がない、どこまでもどこまでも平らな大地というものをイメージできる日本人がどれほどおられますでしょうか。 その昔、私が高校生くらいまでは、水戸の市街地はごく狭いものでした。その市街の建て物から南を見ると、山というものがなく、視界には遥か地平線まで続く広大な森。もちろん家々はあり道が通り畑も広がってはいたのですがみな木々のこずえに隠れ、人の介在しない世界が緑の地平線に消えゆくようでした。空に並ぶ雲がだんだん小さくなりながら彼方に霞んでいくのを目で追いながら、あの森に何があるのか、あの地平には何があるのか、漠然と思いを巡らせておりました。 この森(に見える畑作地帯)は海岸から水戸西部の丘陵が始まる…