国文学者、名古屋学院大学教授。1948年11月25日名古屋生まれ。1971年愛知県立大学卒、74年名古屋大学大学院国文科修士課程修了。1974年愛知県立一宮高校教諭、1977年愛知県立鳴海高校教諭、1980年名古屋学院大学経済学部講師、83年助教授、89年教授。1985年『四部合戦状本平家物語全釈』で日本古典文学会賞受賞。
昨日の軍記・語り物研究会大会講演2本目は早川厚一さんの「3つの軍記物語の全釈を試みて」でした。早川さんは学部では渥美かをる氏、院では山下宏明さんのお弟子さんで、永いこと名古屋の軍記物語研究の世話役でもありました。 市民講座で保元物語・平治物語の講読を、共同研究として四部合戦状本平家物語(その成果は和泉書院から刊行中)、源平盛衰記(名古屋学院大学紀要に連載中)を、そして源平闘諍録(13まで上記の紀要に連載、以降は未発表)の全注釈をこつこつと続けており、そこから見つけた課題と展望を回顧を交えながら語る、との前置きでした。 全注釈を思い立ったのは、引用する漢文資料の訓みを示さない論文が多く、自分なり…
軍記・語り物研究会大会1日目をオンラインで視聴しました。①薦田治子「平家琵琶研究のこれまでとこれから」、②早川厚一「3つの軍記物語の全釈を試みてーその課題と展望-」という講演2本です。 中世以来当道座の盲僧が伝承してきた平家語りを、実際に語れる人はもはやいなくなるという今、薦田さんは邦楽の演奏家3人と共に保存と復元を試み、演奏活動を続けてきました。耳から伝承されてきた検校の語りに比べ、邦楽風に変化しているのではないかという懸念を我々は持つのですが、薦田さんによれば、平家語り800年の歴史の後半400年は、既に三味線音楽と共にあったという。上方の地唄演奏家、関東の箏曲家(山田流・生田流)で声域の…
早川厚一さんが中核になって続けている「『源平盛衰記』全釈(18-巻6-2)」(名古屋学院大学論集人文自然科学篇59:2)を読みました。志立正知さんが代表の科研費(C)jp22K00311を利用した、計8人の異分野研究者の共同作業です。今回だけでも抜刷にして90頁の分量ですが、三弥井書店刊の『源平盛衰記』(一)ではp200の5行目~211の5行目までに当たり、巻48までは天文学レベルの時間が必要らしい。 本文、源平盛衰記伝本の校異、語釈・諸本の異同・引用典拠・史料を参照した注解、引用研究文献が挙げられています。先行研究は博捜されており、各地に散らばる共同研究者間で、メールによる意見交換をした結果…