※本記事は自死のニュースに触れるため、ご懸念のある方は閲覧をお控えください。 母の哀しみは母だけのもの 2024年9月21日は、祖母の三回忌だった。2年前、母方の祖母は86歳で旅立った。それはセリーヌ・シアマ監督の『秘密の森の、その向こう』が公開される、2日前の出来事だった。 『秘密の森の、その向こう』は、祖母が亡くなったことを哀しむ母に眼差しを向ける幼い娘の物語が描かれている。 わたしの母は祖母の棺に寄り添いながら、「幸せな人生だったのだろうか」と小さく呟いた。人は誰かがこの世を去ったとき、その人の物語を語りはじめる。『秘密の森の、その向こう』が教えてくれるように、母の哀しみは母だけのものだ…