奈良博の「空海・密教のルーツとマンダラ世界」展では智証大師・円珍に関連した文書典籍のうち梵夾が展示されていた。第二章の「密教の源流̶陸と海のシルクロード」の入り口すぐ、一番最初の展示物であった。第一章が奈良博東新館を使ったマンダラ世界の再現であったので、実質的にルーツを探る最初の章で、のっけから国宝の展示となっていた。 日本に本格的な密教をもたらしたのは弘法大師・空海である。この空海に影響を受けて、密教を学ぶべく大陸に渡って学んだしっかりとした裏付けがとれる文書として残っているのが智証大師関係文書典籍である。2023年5月24日にユネスコの「世界の記憶」に登録されたのは記憶に新しく、1200年…