魔子恐るべし(上):宮本幹也 1953年(昭28)6月~1954年(昭29)7月、「東京タイムズ」連載。 1954年(昭29)桃園書房刊。 魔子恐るべし(上):宮本幹也2 八ヶ岳に住むサンカ(山窩)の族長の娘魔子が列車で終戦直後の東京に出てくる。サンカ(山窩)とは山野を漂泊する人々で特異な生活習慣や技能を持っていたとされる。彼らが使う言葉も古風な言い回しが伝承されたものらしく、まともに会話すれば半可通になってしまう。この小説では、自然児として育った魔子と都会人たちの常識の乖離、いわばカルチャーギャップの面白さを描いている。彼女の純粋可憐な心情に都会人たちが驚かされ、自分たちの習慣の醜さに気づか…