9月某日 5月に続いてANAの御厚意(格安の航空運賃)に甘え、はるばるやって来たのが北海道、主たる目的は網走・能取(のとろ)湖畔のサンゴ草群落だ。49年ぶりの再訪になる。奥村チヨの「北国の青い空」が流れてきそうな光景を目の当たりにした時の感動が忘れられない。当時はまだ寂しい独身だった。 余りに期待が大き過ぎたのか、49年前の追体験には至らなかった。国鉄湧網線が廃止された上に、景観も変わっている。団体さんがぞろぞろとやって来る。抜けるような秋の青空が広がり、平年並みの冷気に包まれていたなら、印象も違ったものになっていただろう。その日、網走の最高気温は30度を超えた。 三度目はもうあり得ない。夫婦…