マルクス主義の《ドグマ》に囚われている「左翼」学者たちは、「社会主義国家」という“用語”を躊躇なく使用する。ところが、虚心坦懐にマルクスの著作を読む限り、「社会主義国家」というようなものは、ありえようがないのである。 マルクスは、資本制的生産様式が全世界・全社会をもれなく制覇して、表面の目も眩むような富の蓄積と裏面に貧窮する無産の労働者が堆積するだけでなく、“世界的社会主義革命”によって、民族(国民)国家間における労働力水準の均一化、言語の単一化、各国労働者の生活水準の平均化が実現されて民族的差別感情が一掃された後に、社会主義・共産主義が可能になると想定していた。だから、「社会主義国家」とは、…