台湾の本には困ったものだ。手垢がついた表現だが、「うれしい悲鳴」というのがあって、最近、出来がいい台湾の本が多く出版されている。台湾人自身が書いた本の翻訳出版物だ。気になると、アマゾンの「ほしい物」リストに入れておくのだが、それがどんどん増える。台湾の研究者ではないので、ほかのテーマの本も読む。だから、読みたいが時間が足りずに読めない台湾本がたまっていく。「読みたい本がない」という状況と比べればもちろん「うれしい悲鳴」なのだが、欲求不満が増える。日本に一定数いる「台湾ファン」たちは、こういう本を読んでいるのだろうか。 このコラムですでに紹介した『味の台湾』(焦桐、川浩二訳、みすず書房、2021…