食文化を眺める 16 学術論文をていねいに探せば、韓国人の食事の仕方に関する情報がもっと探せるかもしれないが、ちょっと方向を変えて日本の資料にあたってみる。韓国の食文化資料にはならないかもしれないが、古本屋から取り寄せた『台所用具の近代史』(古島敏雄、有斐閣、1996)を読み始めた。この本が出る1年前に、火事で著者夫妻が焼死しているという解説を読んで、溜息をつく。 『台所用具の近代史』の「膳と盆」の項に、気になる記述があった。 「折敷と膳とは江戸時代中期までは同じ意味で用いられていたようだ」 折敷(おしき)とは、食器の下に敷くもので、宮廷ではヒノキの板を使い、庶民はゴザやムシロのようなものを敷…