1964年の東京オリンピック開会式直前の10月1日に、ついに、さまざまな難題を乗り越えて東海道新幹線の東京・新大阪間が開通したのでした。 しかし、その出発式の席上に、十河さんと島技師長の姿は見られませんでした。 十河さんは、他の列車事故と過大な開発費の責任を取らされて次期国鉄総裁に再任されず、島技師長も開発にめどがついた段階で、十河さんのあとを追って自ら身を引いていたのでした。それでも前総裁の十河さんは祝典のほうには呼ばれていましたが、島技師長は祝典にも呼ばれませんでした。 この間の事情は、数年前にNHKで放映された『妻たちの新幹線』というドラマで紹介されていたので、ご承知の方もおられるでしょ…