「哲学者 いや、決して感情に反対してなんかいませんよ。人間の共同生活のいろいろな出来事の表現や模倣が成り立つには感情が必要なこと、あるいは、そういう模倣が感情を刺激することは、私だって認めています。私がたずねているのはただ、あなた方の感情、とくにある特定の感情を刺激しようとなさるあなた方の努力が、果たして模倣の役に立つかどうか、ということです。そのわけは私が実生活の出来事に特に興味をもつということだけは、残念ながら、固執せざるを得ないからです。つまり、もう一度強調させてもらいますが、この立派な、不気味な装置のいっぱい並んだ建物の中に来て、実は私は、まるで闖入者みたいな、局外者みたいな気がしてい…