1980年代に入って、東南アジアの食文化の本を勝手に企画して、自費で取材をしていた。80年代後半には、その本の構成がしだいにまとまってきて目次を作った。東南アジア各地で食べたかき氷のこともぜひ書きたかった。かき氷の東南アジア史を調べるには、かき氷の日本史も調べないといけない。おもしろいとは思ったが、資料が少なかった。そのとき書こうとしていた本は、『東南アジアの日常茶飯』(弘文堂、1988年)としてまとまるのだが、それから35年たった現在でも、かき氷のアジア史を書いた人はいない。おいしいかき氷の作り方と食べ歩き本ばかりで、これはかき氷に限ったことではなく、食べ物の本は、ガイドと調理の資料があれば…