食文化から韓国史を語る『食卓の上の韓国史 おいしいメニューでたどる20世紀食文化史』(周永河、丁田隆訳、慶応義塾大学出版会)が出たのも、2021の12月だった。著者周永河(チェ・ヨンハ)は、韓国の食の人類学や民俗学を専攻する大学教授。食文化関連の著作は多いようだが、日本語への翻訳は残念ながらこの1冊だけ。翻訳者丁田隆(まちだ・たかし)は、韓国の大学の客員教授(民俗学)。 税込み3740円という値段に少々たじろいだ。書店に行っていないから、現物を見ていない。内容の広がりと深さがわからずにネット書店に注文するには勇気がいる。 「でもなあ」と思う。拙著『東南アジアの日常茶飯』(弘文堂)は1988年に…