部落差別はまず角岡伸彦「被差別部落の青春」(講談社文庫)を取り掛かりにした。つぎに、本書で歴史を学ぶ。組坂繁之は部落解放同盟の重鎮、高山文彦は作家で水平社運動を担った松本治一郎の評伝「水平記」を書いた。高山が質問し組坂が答える形で対論となる。 日本の部落差別の起源をこの小著からまとめるのはおこがましいのでやらないが、気の付いたトピックがいくつか。・鎌倉の新興仏教は世の「悪」(ここでは家畜の屠殺(とさつ)や狩猟従事者、死体処理を行うもの。不浄や穢れにかかわるものの謂い)の人たちを救う教えを説いた。さらに進んで悪人正機を唱えるものもでる(「悪」にかかわるひとこそが救われる)。これが庶民や被差別者に…