はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と六十五 「アッチハアッチ コッチハコッチ」 かつては人通りも多く賑やかであったという、ある、寂(サビ)れた商店街の片隅で、ヒッソリと、ながらも、タクマしく、地元に根差した人気のパン屋さんを営んでいるヤングマンが、ソコからホンの少ししか離れていない、インバウンド三昧の、まさに観光地観光地したそのエリアに、対して、サラリとこう言ってのけたのである。 「アッチはアッチ、コッチはコッチ、ですから」 ヤングマンのその言葉が、なぜか妙に私の心にまでスルリと届き、そのままソコに居残っている。 アッチはアッチ、コッチはコッチ、か~。うむ、あらためて、いい言葉だと思う。…