Key words : あってはならない感受性,文学と植物のかかわり,常不軽菩薩,雑草,厄介者 『銀河鉄道に夜』の天上に最初に登場する植物は,銀河鉄道の線路際(鉄道敷)あるいはその周辺で銀河の青白い光を浴びて銀色に光輝く「ススキ原」の「ススキ」である。この絵画的とも言える美しい風景描写が,イギリス人で光の錬金術師と言われたターナーの絵画をヒントにしたと思われることはすでに報告した(石井,2014)。しかし,この物語の舞台が南欧ということもあり,その天上にあまりにも日本的な「ススキ原」の風景を採用した理由についてはまだ十分に説明出来ていなかった。本稿では, 天上に登場する植物がなぜ「ススキ」でな…