この本は2005年に大人のための歴史教科書として書かれたものである。保坂氏は冒頭、次のように語っていた。『「太平洋戦争とは一体何だったのか」、戦後60年の月日が流れたわけだが、いまだに我々日本人はこの問いにきちんと答えを出していないように思える。戦後60年の間、太平洋戦争は様々に語られ、捉えられてきた。しかし、戦争を語り継ぐ会などの個人的体験は語られても、太平洋戦争を本質的に総体として捉えた発言はなかった。「あの戦争とは何であったのか、どうして始まって、どうして負けたのか」ーーー圧倒的な力の差があるアメリカに戦争するなんて無謀だと、小学生だってわかる歴史的検証さえも十分なされていないのである。…