きのうの午後は講義が立て続けに入っていて、非常に非常に忙しかった。 ようやくひと息つける。 大学に――馴染んだ。 去年の今ごろは、予備校の空気を吸っていた。 吸い尽くしていた。 ボロい校舎の、弱小予備校で、講師と生徒の距離が近くて、みんな仲が良くて。 戻りたい、とは――そりゃ、思わないけど、 懐かしみはある。 もうひとつの母校といっても、過言ではない。 けれど、工藤くんとのことを想いだすと、ちょっとだけ胸がチクリと痛む。 工藤くんと食事したファミレスや、 工藤くんと並んで歩いた通りを、 いまもわたしは――避けている。 情けないオンナだって、自分でも思う。 工藤くんがトラウマになってどうすんだ、…