水の中で踊る「ナチラナトラのひいさま」はどんな生き物がイメージされているのだろうか。詩の中で,この生き物は「赤い小さな蠕虫」と表現されている。「蠕虫」には「アンネリダ」のルビが振られていて,体には青白い光を放つ「環節」があり,「とがった二つの耳」もある。くるりくるりと廻っている。また,酸欠で苦しくなると「とけてしまう」こともあるらしい。 私の知る限り,これまで3つの説が出されている。1つ目は節足動物である「カ(蚊)」の幼虫「ボウフラ」(恩田,1961;原,1999;赤田,2010)で,2つ目は同じく節足動物である「ユスリカ」の幼虫の「アカムシ(アカボウフラ)」(河合,2013;藪野,2018)…