序章 E.T. はかわいいのか? 「かわいい」という言葉に強い違和感を感じたのは、1982年に映画『E.T.』が上映されて以降のこと。当時の映画解説者、淀川長治さんだったと思いますが、E.T.を「かわいい」と言って、グッズを求める女性が多いという話を聞いたときからです。 『E.T.』は映画館で観ましたし、いい作品だと思っていましたが、顔面も身体もしわくちゃなE.T.を可愛いと思う感覚はなかったです。当時の私の中では、「かわいい」の対象は「赤ちゃん」や「幼児」、「小学生」といった子ども、せいぜい「うぶな新人」、百歩譲っても演歌に出てくる「耐え忍ぶ恋をしている女性」という感じでした。 1980年以…