こども世界歴史

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中島孤島の軌跡•4ヶ月前

『こども世界歴史』（上巻）

『こども世界歴史』上巻の本文冒頭は、こんな書き出しで始まる。゛一、世界一周旅行かわいい諸君。諸君はこれから世界一周旅行にでるのだと想像なさい。ようござんすか。わたしは、諸君の教師ですよ。そうして道々のあんないをするのですよ。世界一周旅行といっても、単なる漫遊旅行ではありません。また、各国の人情や風俗を、みききするばかりの旅でもありません。人間世界の開けはじめからのできごとを、国々を、いろんな人種を、ずうっと一とおりみて歩こうというのです。大むかしから今日までに、世界にどんな国があったか、どんなことがあったか、どんな人民がいたか、どんなえらい人がいたかなんぞということを、一々みまわろうとい…

#こども世界歴史

関連ブログ

中島孤島の軌跡•4ヶ月前

『アラビヤンナイト』に魅せられた人たち(1)

中島孤島翻訳の「アラビアンナイト」は大正末期～昭和初期にかけて出版されたが、そのころに幼年時代を過ごした文化人のなかには、「アラビアンナイト」を愛読するとともにその後の人生にも関わるほど影響を受けた人たちがいる。そのうちの一人が、作家の三島由紀夫である。゛子供のころ中島孤島訳の「アラビアン・ナイト」を読んで、忘れがたい感銘を与へられたが、この本には、子供に読ませていいのか、とびつくりするやうな挿話（たとえば、プロロオグの王妃の姦通譚や、黒島の王子の物語）も、堂々と入れられてゐた。かういふ頽廃派好みの挿話が、いかに私の文学的空想力を培つたかは、「岬にての物語」といふ短編小説の中にも書いたとほ…

中島孤島の軌跡•4ヶ月前

『こども世界歴史』（下巻）

『こども世界歴史』は下巻になると、アメリカ発見、ルネサンス時代、宗教改革など、アメリカやヨーロッパの国々の動きを追い、最後は第一次世界大戦、第二次世界大戦終結で締められている。目次は次のようになる。第一アメリカ発見第二文芸の復興第三改革者ルーテル第四旧教王フィリップ第五無敵艦隊第六クロンウェル第七イギリスとオランダの争覇戦第八フランスの黄金時代第九ペートル大帝第十フレデリック大王第十一アメリカの独立第十二フランス革命第十三ナポレオンの天下第十四今日の世界しかし、実は中島孤島自身は第二次世界大戦終結直後にこの世を去っているので、昭和5年…

中島孤島の軌跡•4ヶ月前

『こども世界歴史』

「模範家庭文庫」は主には大正時代に発行されたシリーズだが、それより少しあとの時期、昭和初期（5年）に同じく冨山房から、中島孤島「こども世界歴史」というこども向けの読み物が出版されている。模範家庭文庫の対象読者より少し上の年齢層を想定して書かれているようである。筆者によるまえがきを紹介する。（「こども世界歴史」上巻）゛こどもたちはかあさんのちちといっしょに、グリムやアンデルセンの童話をすいこんで成長する。けれども、ときがくるとかあさんのちちからはなれるように、いつかは童話にもわかれるときがきます。そのときには、こどもは読みかけたアンデルセンをつくえのうえにふせて、何か求めるように、とうさん…