読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567562 1 夕かほ 2 六条わたりの御忍びありきの頃。うちよりまかで給ふ なかやどりに。大貳のめのといたくわつらひて尼に 成にける。とふらはんとて五条なる家たづねておはし たり。御車いるべき門はさしたりければ。人して惟 光めさせてまたせ給けるほど。むつかしけなるおほ ちのさまを見わたし給へるに。此家のかたはらに ひがきといふ物あたらしうしてかみははしと見四 五けんばかりあげわたして。すだれなどもいとしろう すゞしげなるにおかしきひたひつきのすきかげ あまたみえてのぞく。たちさまよふらん。しもつかた 思ひやるにあながちにたけたか…