68.『それから』年表(2)――真の問題点 論者は先に『三四郎』の本文改訂案としていくつか挙げたが、おもむきは異なるが、『それから』でも、改めて本文改訂を提案したい。誤 代助が三千代と知り合になったのは、今から四五年前の事で、(7ノ2回冒頭) 正 代助が三千代と知り合になったのは、今から五六年前の事で、(7ノ2回冒頭改)誤 其年の秋、平岡は三千代と結婚した。(7ノ2回末尾近く) 正 其翌る年、平岡は三千代と結婚した。(7ノ2回末尾近く改) 漱石の記述が矛盾していることは確かであるが、前項の問題は誤植の範疇として、読者は一応無視して読み進めることが出来る。事実そうして百年間読み継がれてきたのであ…