30になって、初めて社会人(バイトや家のホステスの手伝い以外は経験ゼロ)となった私に待ち受けていたのは、当然のごとく、こんな仕事もできないのかという嫌味や罵声の連続の日々であった。例の男のことなど考える日などないぐらい、せわしない日々という意味ではありがたい面もあったが、やはり仕事ができない自分を思い知らされるのは辛いことではあった。 母がほくそ笑んでいる気がしてならなかった。「ほら見たことか。」と。「弁護士ぐらい名誉・地位のある職につけなければ、在日で障害者のお前は生きていけないんだよ。だから、弁護士が向かないんじゃなくて、向くように勉強しろ!」 母の言う通りにしなかった私がいけなかったのか…