もうかるとか、もうからないとか、その境界線や基準はどこにあるのだろう。こういう言葉使いをする人たちは、その基準をきちんと意識しているのか。自覚があるのかどうか疑わしい。 昔にも、儲け話が好きな農民はいたようだ。田畑をかたに投資して一獲千金をねらう者を山師と呼んだ。それが当たって一財産を築く者もいただろうが、一方で身代を失って貧に陥る者がいた。そんな “つぶれ百姓” の例を身近に聞いたことがある。そんな儲け話は農業と無縁の別の業種に「手を出す」ことだった。だが、そうした山師は少数派で、当たっても失敗しても、いずれも周囲からは冷ややかな目で見られたにちがいない。大多数の農民は日々の農作業に黙々と精…