はるかにも 思ひやるかな 知らざりし 浦より遠《をち》に 浦づたひして 紫の上と離れている辛さと 明石の浦に移ることを伝える源氏🌊 (源氏の君から紫の上へ) 〜遥か遠くより思いやっております 見も知らない須磨の浦から さらに遠くの明石の浦に流れ来ても 【第13帖 明石 あかし】 あとへあとへと悲しいことが起こってきて、 もう苦しい経験はし尽くしたような私ですから しきりに出家したい心も湧《わ》きますが、 鏡を見てもとお言いになったあなたの面影が 目を離れないのですから、 あなたに再会をしないでは、 それを実行することもできません。 何の苦しみよりも 私にはあなたと離れている苦痛が最もつらいこと…