うちの周りには、わりと住所をもたないねこがいる。 えさを持って歩くほどではないし、声をかけることもないけれど、 ねこやん。 と、眼で追うくらいには、好意を持っている。 彼らの歩く姿は、しなやかでうつくしい。毛づくろいをしているところにいきあわせると、ユーモラスでありながら鋭くて。邪魔をしないように、そっと目を伏せ通り過ぎる。のびって転がるところも、まるまるとまとまるところも、ハタっと耳を立てるところも、身を翻したかと思ったら振り返ってにらむところも。 ねこやん、ねー。 と、にまにまするくらいには、好意を持っている。 いや。好意をもって、「いた」。 近所の駐車場に、ねこのえさばができた。段ボール…