小説「雪国」の主人公がしばらくぶりに会った芸妓に、「指だけがおぼえていたよ」と挨拶するくだりがある。 「繊細な指の記憶」は、脳の記憶より強く、いつまでも残っている。川端康成の気づきが印象的だった。 触覚は、指先のみならず全身をおおっている。人間は、”感受性の塊”とも言える。この触覚(haptic)を通じて、デジタルの擬似体験を、よりリアルに感じさせる試みがある。 PARTYのクリエイティブ・ディレクターの川村真司が、触っている感覚と気持ちをシンクロさせる”擬似触覚”、スード・ハプティック(psiudo-haptic)を、安室奈美恵の「Golden Touch」のミュージックビデオで試みた。再生…