囲いの集落を出た雛鳥達は、何度か休憩を取りつつ山を越え、更に歩き、日が傾く頃になってようやく、長老達の暮らす集落、月森の集落を挑む丘の上まで辿り着いた。 長老の蝦蟆はそのまま一人で、月森の集落へと帰ってしまったので、雛鳥は長老の息子の蝌蚪と二人だけで、月森の集落から少し外れた場所にあるという、踊りの師の家へと向かった。 雛鳥の踊りの師となるのは、猿楽(ましら)という高齢の女性なのだと、道中、蝌蚪は雛鳥に教えてくれていた。 「おーい、連れてきたぞ!」 山と川との間に、最近つくられたばかりに見える新しい家と、それよりもずっと古く見える家が二つ、並んで建っていた。その内の古い方の家に向かって、蝌蚪が…