今村夏子『あひる』 今日は読書の話題です。最近読んだ本2冊について。 1冊目は今村夏子の『あひる』。今村夏子の本を読むのは5冊目になる。短編集で、表題の「あひる」を入れて3編が収録されている。活字がやけに大きいのが老眼にやさしくてありがたいが、これは活字が小さいとページ数が少なくなりすぎるからだろう。 「あひる」 前回読んだ短編集がいまいちだったのだが、この小説は作者の本領発揮といった感じで、今まで読んだ中でいちばん好きな作品だった。 主人公の「わたし」は両親と3人暮らしの女性。医療系の資格試験の勉強をしているがまだ無職。10年前に家を出て結婚している弟がいるので、おそらく30代半ばくらい。両…