⚫︎絵で、陰影を使って空間を表現しようとすると、どうしても色が濁る。ピカソの絵で、しばしば色が濁ってしまうのは、ピカソがどうしても陰影から自由になれなかった人だからだろう(ピカソの立体が素晴らしいのは、立体には陰影をつける必要がないからだと思う)。しかし、陰影を使うことが必ずしも色を濁らせるわけではない。たとえば、最近のアニメのカラーリングでは、影の部分を暗くするのではなく、色相をずらした色を使用することで、陰影をつけつつ、色がきれいに響き合うということが実現されている。黄色の髪の毛に、肌色に近いピンクの影を入れる、というようなことだ。 陰影を使いつつ、色を濁らせないというのは、(「マティス」…