著名な脚本家である著者が、俳優や演出家など、それまで関わってきた業界の人々(一部に一般人)の思い出を、食と共に語っている。 伯母夫婦が俳優であった家で育った著者は派手な芸能界とは無縁の志向を持っていたはずだが何故か脚本家に。大物俳優、演出家、映画監督など、それぞれキャラの立った人たちであり、そういう人が見せる食へのこだわりが垣間見えて興味深い。また、子供が死んだと聞かされたときの表情を覚えているべく咄嗟に鏡を覗いたなんて女優の話も鬼気迫る。著名女優と著名演出家の確執と和解も、このあたりをリアルタイムで知る世代としてはほうほうなるほどと思ったりする。 食いしん坊を自称している割りに食に対してさほ…