りゅうず(竜頭)とは、一般的な腕時計において、文字板の3時の位置の時計側面に配置されている時計部品の一つ。
一般的な機械式腕時計の「りゅうず」は、次の3つの役割を持っている。
りゅうずの起源は、機械式時計が発明される遥か以前にさかのぼり、 寺院の釣鐘をつり下げるための綱を通す部分である「鈕」が、日本では「竜頭」と呼ばれていたことに始まる。
江戸時代末期から明治時代にかけて、西洋の文物が入ってくるようになると、輸入品の懐中時計が日本に入り、 鐘の音の役目もだんだん懐中時計に引き継がれていき、その懐中時計に紐や鎖を通してつるす部分を、鐘と同じく時を告げるものをつり下げる部分ということで、「りゅうず」と呼ぶようになったのではないかと考えられている。
現在のような機能を持たせたのは、フランスのジャン・アドリアン・フィリップ(Jean Adrien Philippe)であるとされ、1842年、ねじ巻き/時刻合わせ用の軸を、それまでの時計の前面や背面から、時計側面に移動させたムーブメント(時計本体の心臓部分)を発明した。 これは、「りゅうず巻き上げ/時刻合わせ機構」と呼ばれ、現在の機械式腕時計の機構とほぼ同じことができる発明であった。
それまで鎖留め、ひも通し程度の飾りにすぎなかった「りゅうず」は、このとき初めて時計の内部機構と関わりを持つようになり、「時計部品」の一部になった。
この方式の時計はほどなく主流となり、ねじを専用の鍵で回す鍵式時計を過去のものにした。