写真家 大辻清司を再確認した一日 齢を重ねるごとに、学生時代に出会った人や出来事が徐々に記憶の彼方に追いやられていくものである。 だが、どうしても忘れられない人や、断片的であっても、その方と過ごした時間など、いまだ鮮明に覚えていることがある。 私にとって写真家 大辻清司はそんな人である。 日本のシュールレアリズム運動を確立させた瀧口修造と親交があった氏は写真の世界からシュールレアリズムとは何かを視覚化させた功労者である。 氏の作業は、芸術家が作り込んだ造形物に「光という名の生命力」を注ぎ込み、写真として残すことから始まった。 その後氏は「作品を作り込むこと」から「いまそこにある風景を切り取る」…