島尾敏雄『その夏の今は・夢の中での日常』(講談社文庫 1972年) 島尾敏雄『島へ―自選短篇集』(潮出版社 1972年) 「ユリイカ」の夢特集号で、清水徹が加賀乙彦との対談の中で、島尾敏雄の夢の物語を紹介していたり、「伝統と現代」の夢特集で、岡田啓という人が「島尾敏雄と夢」という評論で、島尾敏雄の夢系列の作品を論じていたりしたので、興味が湧いて読んでみました。というのは、これまで夢日記である『記夢志』を除いて、小説作品では、『死の棘』しか読んだことがなかったからです。 結論から言えば、夢系列の作品と思しき「夢の中の日常」、「鬼剥げ」、「島へ」、「孤島夢」、「アスファルトと蜘蛛の子ら」、「帰魂譚…