『貴女に感謝の花束を』 「一体全体今日はどうしたんですの?」 私はドーム状のガラスの花瓶にルーンを刻む手を止め、作業机を挟んで対面に座っている汐里さんに苦笑しながら声を掛けた。より正確には、両手で頬杖をついてニコニコしながら私を見ている汐里さんに。普段であれば彼女も何かしらのモノ作りに励んでおり、そうして互いに黙々と作業を進めるこの場の空気に私は心地良さを感じていた。ところが今日は幾分様子が違っていた。 「いえ、もう少しで完成だと思ったら、なんだか妬けちゃうなって思って」「汐里さんにそう言って頂けるなら作った甲斐もあるというものですわ」 梨璃さんと夢結様が由比ヶ浜ネストを消滅させて帰還してから…