アンドリュー・ワイエスは自身の生まれ住む土地から離れず、身近な風景を描き続け、身近な人たちをモデルにして、同じ人物を描きつづけていた。 絵の印象はとても静かで、でも風は吹いている。広がりのある自然と空間の中に人物が遠くを見つめている。静物画は誰もいない部屋と窓であったり、人の存在しない最果てのような風景画であったりする。ともすれば退屈になってしまうような風景を、愛着を感じさせて、いつまでも見ていたい絵にしてしまう。 彼の絵は悲しく寂しい気持ちにさせつつも、それとは矛盾した、清潔な清々しさ、穏やかな気持ちにさせてくれるような、まるで彼の日常生活の断片を淡々と見ているような作品。写実的な絵で、白い…