一か月くらいだろうか、TVも見ずに三人で 人生のこと、考え方、思い、色々な話を 毎晩毎晩していた。三人とも本音で飾らずに 自分の言葉を紡いでいた。 あんなに濃密に会話したのはいつ以来だろう。 息子が大人になってからは、なかったんじゃないか。40歳の頃、長年勤務していた楽器メーカーを 仕方のない理由=全社的業績悪化で退職し、 単身上京して音楽と仕事、両方の勝負に出たことがある。 その時は夫婦で語り合った。俺は本気で思うことを 伝えた。妻は「家族のことも考えてくれていたんだ」と、 その部分だけは本当に喜んでくれた。だが二軒の維持は本当に大変で、経済的にも苦労を掛けた。 妻も働きに出なくてはならず、…