2012年10月、土曜日術出版販売から刊行された若山紀子の第9詩集。刊行時の著者の住所は名古屋市守山区。 しなやかな革の薄茶色の靴であった。足に馴染んでいて長い間履いていた。別れた時、置いて出た。何故今頃と思うのだが。詩集を出すと決めたとき、ふっとあの靴を脱いだ時のあの感触と似ていると思ったからだ。 昨年二月、土曜美術社出版販売から「新・日本現代詩文庫」を出版した、そのすぐ後にあの大震災であった。あの頃は体調が悪く身も心も弱っていた。しかし、詩集『握る手』(二〇〇六年刊)以降の作品の行方が気になっていて、何とか纏めて出さなくてはという強い思いがあった。更に詩誌「環」の発行もあった。 こんな詩へ…