そのころ、叛乱があった。 きっかけは、まあ、益体もない。 ウェールズ人にイングランドの慣習を強制しようとしたところ、彼らはほとんど焚火に向かって放り込まれたマグネシウムのようになり、金切り声で拒絶を叫び、たちまち武装を整えて蜂起の運びとなったのだ。 (ウェールズ、コンウィ城) こと、中世紀のヨーロッパでは時候の挨拶にも近い、茶飯事的な現象だろう。 ただ一点。鎮圧に動いたイングランドの軍団中に、未だ玉座に就く前の、若かりし日の「長脛王」エドワード一世が混ざっていたのが、事を極めて重大にした。 飾らずにいうとこの戦いで、エドワードの率いた軍はけんもほろろに打ち破られる破目となる。 (おのれ。――)…