《2009年10月9日付け記事を再録》 「何だもう下りて来たのか、もっとゆっくりしてくれば良いのに」。2時間ほど前に、イサクパシャ宮殿の遺跡まで送ってくれたタクシーの運転手が親しげに声をかけてきた。1994年の6月、私は、トルコも東の果て、イラン国境に近いドウバヤズィットの町を訪れていた。のんびりと旅を楽しむほどの余裕もなかったから、ここでは、ノアの方舟伝説で有名なアララト山を眺めて、イサクパシャの遺跡を見ることができれば充分、翌日は、次の目的地であるワンに移動するつもりだった。しかし、この日は午前中にイサクパシャ遺跡の見学を果たせたので、午後からは近くにあるという温泉まで足を延ばしてみようか…