なんだろう、この慈悲深さ。ヴァイオリンの響きもそうなのだけれども、オーケストラの包み込むような演奏もまた、シベリウスらしくもあり、またシベリウスにしては随分と劇的でもあり。過去ログを読んでみると、聴く度に寝落ちをしているようなのだけれども、それもむべなるかな。柔らかくも甘やかな感情に包み込まれるかのような演奏なのですよ。シベリウスは自然描写的作風がその全てだと思ってはいるのだけれども、そこに人間としての、もしくは生物としての愛情が加わったかのような楽曲であると、今になって認識した次第。これは間違いなく良質な、そして素敵な演奏であります。そして上品。