『家蠅とカナリア』ヘレン・マクロイ/深町眞理子訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆ 『Cue for Murder』Helen McCloy,1942年。 解説にも書かれているようにサスペンス派という印象の強かったマクロイですが、本書は至極まっとうな謎解きものでした。 刃物研磨店に夜盗が押し入ったものの盗られたものは何もなく、鳥籠からカナリアが解放されていた――。冒頭で紹介された新聞記事は魅力的です。ならば刃物を研ぐために押し入ったのでは? 不吉な予感がする……。ここまではよかったのです。 舞台上演中、死体役の役者が胸にメスを突き立てられて実際に死んでいるという事件が起こります。 まっとうな謎解きもの…