目を皿のようにしてロシアによるウクライナ侵攻を見ている国が、間違いなくアジアに3つある。中国と台湾とベトナムである。中国と台湾は当然、ベトナムもまた当事者として。 なぜなら、ロシア・ウクライナと中国・ベトナムは、地政学的な構造が同じであるから。 野嶋 剛は、1979年の中越戦争について、こう記している。「わずか1カ月に満たない短い戦争だったが、殺された双方の兵士の数はあわせて数万人を軽く超える凄惨なものだった。かつては兄弟国としてともに社会主義をアジアに広げていく夢を抱いた同士の近親憎悪がその根底にあった。中国側は、兄貴分としてベトナムを『懲罰』するという大義名分を掲げ、ベトナムは『侵略だ』と…