「つくられた格差」(エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン著、光文社)は私の長年の疑問に答えを出してくれた素晴らしい本でした。 極端に貧しい者もおらず、極端に富める者もいない社会は、誰もが理想とするはずです。1990年頃の日本は、見方によっては今以上に重い問題を抱えていたものの、現在より貧富の差が明らかに少なかった点で、素晴らしい社会でした。日本より高い税金の北欧国家と並ぶほど貧富の差がなかった自由経済国家だったからこそ、1990年頃の日本が世界から尊敬されていたと私は考えています。 それでは、平成30年間で、なぜ日本の貧富の差はここまで広がってしまったのでしょうか。その理由は一つであり…