70年代のファンク全盛期が終わり80年代に入ると、突如盛り上がってきたシンセサイザーの熱狂と、初期のラップとをかけ合わせて楽しむ何人かのアーティストが登場した。「エレクトロ・ファンク」、またの名を「エレクトロ」といい、ファンクのグルーヴを保ちながらエレクトリックな面を強調した、新しいファンクの出現である。このミックスからは2、3のヒットしか生まれなかったが、その中には、大ヒットとなったハービー・ハンコックの「ロック・イット」、グランドマスター・フラッシュの「ザ・メッセージ」などがある。
このスタイルの功績は何にもまして、アーティストに将来の革新的な飛躍の場を与えたことだ。初期テクノのかすかなエコーと、ロジャー・トラウトマンやザップといったこのジャンルの改革者の手法は、今でもモダン・ヒップホップの中に生きている。トラウトマン自身と彼のトレードマークであるヴォコーダー・ヴォーカルは、ドクター・ドレー&2パックの大ヒット「カリフォルニア・ラヴ」といった曲に顕著だ。
(http://www.listen.co.jp/xtpsub455.jspより転載)