マティアス・グリューネヴァルト『復活』 晴。そぞろ心細き日々。仏蘭西料理屋で食事、今週三度目のテニス、悲惨から目を背く為、パスカルの云ふ「気晴らし(divertissement)」に精を出す。 悲惨の裡にて我思ふ。カトリシスムほど人間の欠点を知り盡し、人間が抱く悉皆の悩みに答へ、人間を確信(=希望)へと至らしめて呉れるものはない。名立たる法学者、物理学者がカトリシスムを受容する所以である。 選択しなければならないのですから、最善のものを選びませう!(ヴィリエ・ド・リラダン『クレール・ルノワール』) 扨て、本書はオスカー・クルマンが1955年4月にハーバード大学で行つた講演の翻訳である。彼は仏蘭…