岩波文庫158ページ「学人おほくおもはく、「尽乾坤」といふは、この南瞻部洲(なんせんぶしゅう)をいふならんと擬せられ、又この一四洲をいふならんと擬せられ、ただ又神丹(しんだん)一国おもひにかかり、日本一国おもひにめぐるがごとし。又、尽大地といふも、ただ三千大千世界とおもふがごとし、わづかに一洲一縣をおもひにかくるがごとし。尽大地尽乾坤の言句を参学せんこと、三次五次もおもひめぐらすべし、ひろきにこそはとてやみぬることなかれ。」 仏教を学ぶ人の多くは、「尽乾坤」を南瞻部洲のことだと思い(インドでは須弥山の周りに4つの大陸があり、その南側の大陸に人間が住んでいてそこを「南瞻部洲」と称した)、あるいは…